『ニュー・シネマ・パラダイス』は1989年の映画でイタリアの名監督ジュゼッペ・トルナトーレの作品です。
この監督の他の作品として『海の上のピアニスト』「マレーナ』などがあります。
『ニュー・シネマ・パラダイス』がどんな作品かというと、
・幼い少年トトと映写技師アルフレードの友情
・ノスタルジックな物語に涙する
・世界中で愛される映画史に残る名作
上記3点だと思う。
特に映画のクライマックスには涙を流す人もたくさんいるでしょう。
エンニオ・モリコーネの切ないメロディがものすごく胸に響くんですよ。本当に。
もう忘れられない名シーンです。
胸に「ズドーン」ときます。僕は観終わった後しばらく思考が停止してしまいました。
あまりにも胸に響くので一度元気めの音楽でスイッチを入れ直さないと動けないほどのインパクトをこの映画は残します。
この記事ではそんな『ニュー・シネマ・パラダイス』の名言を紹介していきます。
ぜひ物語の名言を意識しながらもう一度観てみてください。
より一層の深い感動が得られるはずです。
『ニュー・シネマ・パラダイス』の名言
中心となるのは映写技師のアルフレードの言葉の数々です。
アルフレードは何だってお見通しなんです。
そしてアルフレードの言葉が少年トトを成長させていきます。
名言①「友達は顔を見て選べ敵は頭で選べ」
「友達は顔を見て選べ敵は頭で選べ」という言葉がある。
お前は友達にするにはちょっとずる賢いからな。
子供たちにはいつも言うんだ。
いい友達を持つように心がけろってな。
アルフレード
人間の性格や人柄は顔に出ると言いますからね。
それだけ第一印象って重要ってことですよね。
考えさせられます。
「顔」という言葉で思い出したのがこんな言葉です。
「20歳の顔は自然から授かったもの。30歳の顔は自分の生き様。だけど50歳の顔にはあなたの価値がにじみ出る」
これは誰の言葉かというと、
フランスのファッションデザイナー、ココ・シャネルの言葉です。
アルフレードの年齢はわかりませんが、きっとトトにとって、ものすごく価値が滲み出ていたに違いありません。
僕も自分の娘には良い友達を持つように伝えます。
名言②「俺しかいないからやるしかなかった」
他に映写機を扱える人間がこの村にいたか?
いやしない。
俺しかいないからやるしかなかった。
アルフレード
トトにはこんな仕事はするなと何度も言うアルフレードですが、自分の仕事に誇りを持っていました。
映写機を回して客席が笑っていると自分が笑わせているみたいで嬉しくなる。
そして自分の仕事には村の人達の辛いことや嫌なことを忘れさせる力がある。
アルフレードはそんな自分の仕事が嫌いじゃなかったんです。
けれどもアルフレードは現実をしっかりわかっています。
それが次のセリフです。
名言③「視力は失ったがよく見える」
視力は失ったがよく見える。
前よりもっとよく見える。
アルフレード
アルフレードは火事で失明してしまいます。
それでもちゃんとわかっているんです。
映画のピントがボケていることを指摘したり、トトの初恋を察したりとなんでもお見通しです。
そんなアルフレードはトトに、
「この仕事を長くやっちゃいけない」
「トトには大事な仕事が他にある」
そう伝えるのでした。
僕が思うにアルフレードはパラダイス座がやがて衰退しなくなってしまう未来がわかっていたんだと思います。
この村で、パラダイス座で働き続けたらトトの人生はやがて岐路に立たされてしまう。
それを見越して発言だったのではないでしょうか。
名言④「体の重い男は足跡は深く刻まれる」
体の重い男は足跡は深く刻まれる。
彼はなぜそこに立ち止まっているか。
恋の袋小路にいると知っているからだ。
映画ジョン・ウェインのセリフ アルフレードの引用
トトの初恋に対してアルフレードが教えてくれたのがこの映画のセリフです。
体の重い男とはつまり「恋をしている男」ということでしょう。
「恋は盲目」
わかっていてもわからないんですよね。
それが恋なんだと思います。
「君は今恋の袋小路だね、君の足跡が深く刻まれているよ」なんて言えたらおしゃれですよね 笑
どう思われるかは別として・・・
名言⑤「進歩はいつも遅すぎる」
進歩はいつも遅すぎる
アルフレード
時代が進み燃えないフィルムが発明されました。
その時のアルフレードのつぶやきです。
何気ない発言ですけどその通りですよね。
アルフレードの時代に発明されていれば彼は視力を失わないですんだかもしれません。
進歩はいつだって遅いんです。
アルフレードには「今、命がある」ということに感謝の目を向けて生きて欲しいです。
名言⑥「話すのも黙っているのも同じことだ」
今にな・・・お前にも分かる時が来る
話すのも黙っているのも同じことだ。
だったら黙てる方がいい。
アルフレード
この言葉の意味は僕が思うに、
アルフレードの周りには友達がいなかったんだと思います。目が見えない年寄りと真面目に向き合ってくれるトトのような友達がいなかったんです。
話しても、黙っていても自分の言葉は伝わらない。
アルフレードはそんな孤独を抱えていたんだと思います。
そんなアルフレードは、トトには自分の言葉で語りかけます。
大事な友達だからこそ少し厳しいことも言います。
それが次の名言です。
名言⑦「人にはそれぞれ従うべき星がある」
人にはそれぞれ従うべき星がある。
村を出ろ。ここには何もない。
ここにいると自分が世界の中心だと感じる。
何もかも永久に変わらないように見える。
しかしここを出て1年2年・・・戻った時は全て変わってる。
何のつながりもない。
会いたい人はいない。
住んでた家ももはやない。
村を出たら長い間帰ってきてはいかん。
年経て戻れば友達にふるさとの地に再会できる。
今のお前はわしより盲目だ。
村を出ろとトトに言います。
アルフレードにとってもトトがいなくなってしまうのは辛いことですが、友達だからこそです。
アルフレードはトトに世界はもっと広いということを肌で知って欲しかったんだと思います。
このまま村にい続けても何も変わらない。
そのことをトトはわかっていない。
「今のお前はわしより盲目だ」
そうアルフレードはトトに伝えるのでした。
そして続けて言います。
名言⑧「人生はもっと困難だ」
人生はお前が見た映画とは違う
人生はもっと困難なもんだ。
人生経験がトトよりも豊富なアルフレードは現実をしっかり知っています。
現実は甘くない。
これまでトトは映画と共に人生を歩んできました。
言わば「映画の中の世界」を歩んできたとも言えます。
実際にこんなシーンがありました。
初恋の相手エレナに会いたくたまらないトトは、野外上映の合間にこんなセリフを口にするシーンがあります。
「夏はいつ終わる、映画なら簡単だ。ディゾルブして雷雨、さっと夏が来る」
その直後に突然の雷雨、そしてエレナが現れキスをするシーンがあります。
現実にはありえないような展開です。
けれどもこの先の人生は映画のようにはいきません。
「ちゃんと現実を見ろ」というアルフレードからのメッセージがこのセリフには込められていそうです。
名言⑨「お前の声を聞くより お前のうわさを聞く方がいい」
お前の声を聞くより お前のうわさを聞く方がいい。
これは素敵な言い回しですね。
離れていてもうわさで聞こえてくるくらい立派な人間に成長して欲しいというアルフレードの思いが甲斐見えます。
そしてトトはローマに旅立つことを決めるのでした。
名言⑩「何をするにしてもそれを愛せ」
何をするにしてもそれを愛せ。
子供の頃パラダイス座の映写室を愛したように。
トトがローマに旅立つ時のアルフレードの送り出しの言葉です。
帰ってくるな、故郷のことは忘れろ、手紙も書くなと強くトトに言ったのも彼の前途洋洋の人生に向けたアルフレードなりの愛情だったのでしょう。
人生は困難なもの。
それぐらいの覚悟がないとやっていけないとアルフレードは知っていたのでしょう。
アルフレードは自分の仕事を愛していたのでしょう。
その自分の経験をしっかりとトトに伝えるアルフレードの暖かい名言です。
名言⑪「ここは幻」
村を出てよかったのよ。
望みどおりのことができたんだし。
(途中略)
あんたの生活は向こうにあるのよトト。
ここは幻。
トトの母
お母さんの言葉です。
母を見捨てて30年も帰らず自分の人生を歩んだトトは申し訳ないことをしたと考えていました。
そんなトトにお母さんは優しく伝えます。
故郷が幻、つまり夢ということは、トトはしっかりと現実を生きているということです。
アルフレードの教えの通りトトはしっかりと現実を生きて立派な大人に成長したのを感じる言葉です。
故郷が幻というのも寂しいですね。
複雑な気持ちになります。
『ニュー・シネマ・パラダイス』のノスタルジックなストーリーに涙する
『ニュー・シネマ・パラダイス』を観ていて感じるのが胸の奥がキュッとするようなノスタルジーな感覚です。
特にクライマックスのシーンには涙を流す人が多いでしょう。
ノスタルジックな気持ちにさせる理由は次の2つです。
①人生の儚さを感じる
②トトの人生の選択を追体験する
順番に書いていきます。
①人生の儚さを感じる
パラダイス座が爆破されるシーンがあります。
かつては人が押し寄せ、中に入れなかった人が怒り出すほどの人気があったパラダイス座。
トトの青春も間違いなくパラダイス座と共にあるでしょう。
そして大切な友達アルフレードとの大切な思い出も。
テレビとビデオの時代になり映画はもう夢。
パラダイス座も時代の流れには敵いませんでした。
村で唯一の楽しみの場所だったパラダイス座が爆発されてしまうんです。
思い出の詰まった場所がなくなるのって本当に悲しいですよね。
諸行無常。
パラダイス座はなくなり、大切な友達アルフレードも亡くなってしまいました。
人生は儚いですね。
今の僕たちの生活もやがては古くなり、どんどん新しいものが誕生していきます。
そして思い出の場所や大切な人を失う日がやがて訪れます。
映画を観ながらそんなことを考えさせられました。
だからこそ「今」を大切に生きていきたいと強く思う次第です。
②トトの人生の選択を追体験する
30年経って立派に成長したトト。
けれどもその成長と引き換えに失ったものもあります。
それは村の人達との生活や大切な友達との時間。
トトは30年も家族とお母さんと会いませんでした。そして大切な友達アルフレードとも。
立派な大人になり、社会的に成功をしました。
成功と引き換えに大切な人との時間を失っています。
これは多くの人が経験することではないでしょうか。
僕自身も親元を離れて生活して家族と会うのは年に数回。兄や姉とは仕事柄タイミングが合わず1年以上あっていません。
仕事、日常生活の充実と引き換えに僕は間違いなく家族との大切な時間を失っています。
トトの心情はそんな僕の心情とリンクして切なさを追体験させます。
トトの気持ちが見ている僕たちにも痛いほどリンクするのがこの映画が名作である理由ではないでしょうか。
そして美しい音楽が映画を引き立てています。
大学生の時にもこの映画を観たのですが、歳を重ね30歳を前にした今は更に胸に染みました。
人生は選択の連続です。
選ばないといけません。
何が正解かはわかりません。自分の従うべき星を信じるしかありません。
終わりに
『ニュー・シネマ・パラダイス』の名言を紹介しました。
素晴らしい作品です。
とにかく最後のシーンは胸にグッとくるものがあります。
少年頃にはカットされてしまって見ることができなかったキスシーンを集めたフィルム。
アルフレードが残した形見。
泣けます。
流れる音楽が本当に沁みるんです。
観終わったあとに良い映画だったなとしみじみと感じる映画史に残る名作です。
ぜひ劇中の名言を味わいながら楽しんでみてください。
それではまた。